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地主さん向けコラム


地主さん向けコラム

地主に多い税務調査の事例とは? ~「うちは大丈夫」が通用しない時代へ~

「税務署なんて関係ない」「まじめに申告してるから大丈夫」
そう考える地主は多いですが、近年、税務調査のターゲットとして“地主層”が注目されているのをご存知でしょうか?

相続税の基礎控除が縮小された2015年以降、課税対象者が急増したことで、
「土地や建物を持っている地主」に対する相続税の課税・調査が全国的に強化されています。

とりわけ、

・複数の不動産を保有している地主

・相続発生後に多額の資産移動がある地主

・名義の使い分けや贈与履歴が曖昧な地主

こうした属性の地主には、税務署が「重点調査対象」としてチェックを強化しているのです。

今回は、実際にあった地主の税務調査の事例をもとに、
地主が注意すべき典型的なパターンや対応策を3部構成で解説します。

第1部:よくある「名義預金」の指摘事例

◆ケース1:孫名義の預金がすべて否認

ある地主は、自分名義の口座から孫名義の口座に毎年100万円ずつ資金を移し、10年間にわたり生前贈与を行っていました。
「暦年贈与の範囲内だから非課税」と思っていたのですが、税務調査でそのすべてが名義預金として否認され、相続財産に加算されることになりました。

なぜか?

・通帳・印鑑を祖父が管理していた

・孫本人は口座の存在すら知らなかった

・贈与契約書がなかった

・贈与税の申告もしていなかった

これらの要素から、形式だけの名義変更=実質的には祖父の資産と判断されたのです。

地主は、贈与のつもりでお金を移していても、“贈与の意思表示”と“受贈者の受諾”がなければ贈与とは認められません。

◆ケース2:妻名義の定期預金が相続財産に

別の地主は、長年にわたり自営業の売上を自分の口座に入金し、その一部を妻名義の口座に定期的に移していました。
これも「夫婦共有の財産」と考えていたのですが、税務署は妻名義の預金を全額、夫の相続財産として加算しました。

理由は以下の通りです。

・移した資金の出所は夫の事業所得

・妻が口座の管理をしていなかった

・移転理由の説明が曖昧だった

地主の家庭では「妻名義の預金=妻のもの」という感覚がありますが、実態を伴わなければ税務署には通じないのです。

第2部:土地にまつわる評価ミスの指摘事例

◆ケース3:自宅敷地に小規模宅地特例が適用できず

ある地主が亡くなり、長男が自宅で両親と同居していたため、相続税の申告で「小規模宅地等の特例(330㎡まで80%評価減)」を適用しました。

しかし、税務署から否認され、多額の追徴課税を受けました。

調査の結果、長男は同居していた実績がなく、単に一時的に滞在していただけだったことが判明。
健康保険の住所や住民票は実家にあったものの、実際の生活拠点は別にあり、形式的な“住民票の移動”では認められなかったのです。

地主にとって小規模宅地等の特例は大きな節税手段ですが、要件を満たさない形で無理に適用しようとすると、調査で確実にバレます。

◆ケース4:借地権の評価を見誤って申告

ある地主は、相続税の申告にあたり、借地権が設定されている土地をかなり低評価で申告しました。

しかし、借地人が事業用として長年使用しており、更新もされていたため、借地権割合を反映した評価にすべきだったとして、
結果的に数千万円単位の評価増加→相続税の増額となりました。

地主が複雑な権利関係を抱える土地を持っている場合、不適切な評価や申告があると高確率で修正対象になるのです。

第3部:帳簿や契約の不備で追徴された事例

◆ケース5:建物の貸付収入に漏れが発覚

不動産を複数所有する地主が、貸家や駐車場収入を申告していましたが、
一部の契約が「口頭契約」で、帳簿記録も曖昧だったため、本来の賃料収入より少ない額で申告していたことが発覚しました。

結果、申告漏れとして課税されるだけでなく、

・無申告加算税

・延滞税

・税務署の定期的な監視対象化

といった「二次的なリスク」にもつながりました。

◆ケース6:法人名義の土地使用料が「寄附金」扱いに

地主が個人所有の土地を、自分の経営する法人に無償で貸していたケースです。
これは「自己所有だし、わざわざ使用料を取らなくてもいいだろう」と考えていたようですが、
税務署はこの部分を法人側からの寄附金(=損金不算入)として否認。

地主個人に対しても、経済的利益の供与=みなし所得の対象となる可能性があると指摘されました。

地主が個人と法人をまたいだ資産運用をしている場合、取引の適正価格・契約書の有無が厳しく見られるため、非常に注意が必要です。
地主は、不動産という資産の構造上、税務署にとって“調査コストが見合う相手”と見なされがちです。

・預金の名義を複雑にしている

・不動産評価に専門性が必要

・貸付や相続などでトラブルが起きやすい

そのため、形式だけ整えても、実態が伴わなければ調査対象となるリスクが非常に高いのです。

地主として税務調査に備えるには

1.贈与・名義預金の管理を明確にし、証拠を残す

2.不動産の評価・契約関係は専門家に確認させる

3.家族で共有できる“資産一覧表”を作成する

4.法人との取引は必ず適正価格・契約書で対応

5.相続対策は「見える化」と「説明可能性」を重視

「うちは大丈夫」と思っている地主ほど、思わぬ落とし穴で税務調査の餌食になることが少なくありません。

正しく準備していれば、税務署も納得します。

しかし、準備していなければ、指摘されてからでは遅いのです。

地主として家族と財産を守るために、
今こそ“税務署の視点”で自分の資産を点検するタイミングなのではないでしょうか?
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