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「名義預金」問題に注意!税務署の視点 ~地主が見落としがちな資産の落とし穴~

地主にとって、相続対策の一環として預金を家族名義に分散しておくことは珍しくありません。
たとえば、孫の名義で預金を作ったり、妻名義の口座に資金を移したり…。
「これは家族の将来のために」と善意で行っていても、それが**“名義預金”とみなされれば、相続時に多額の課税対象**になる可能性があります。

特に地主のように、土地・建物だけでなく金融資産も一定額保有している家庭では、
相続税調査で狙われやすいポイントのひとつが「名義預金」なのです。

「生前贈与していたつもりが、実は贈与になっていなかった」
「孫名義の口座なのに、通帳も印鑑も親が管理していた」
こうしたケースは、税務署にとって**“実質的に被相続人の財産”**と見なされ、
相続財産としてしっかり課税されることになります。

この記事では、地主が特に注意すべき名義預金の問題と、税務署の視点を3部構成でわかりやすく解説します。

第1部:名義預金とは何か?地主が知っておくべき基本

◆名義は他人でも、実質的に所有していればアウト

「名義預金」とは、形式的には他人の名義であるが、実質的には被相続人が所有していた預金のことを指します。

地主がよくやりがちなのは以下のようなケース

・孫名義の口座に毎年100万円ずつ入れていた

・妻名義の定期預金を作ったが、資金は夫が拠出

・子供の名義で通帳を作り、通帳と印鑑は親が管理していた

このような場合、「名義は他人でも、実質的には被相続人のもの」と税務署に判断されると、その預金は相続財産として課税される対象となります。

◆地主にありがちな「贈与したつもり」が通用しない理由

「名義を変えたんだから、贈与したことになるはず」と思う地主は多いですが、
贈与として認められるには、以下の3要件が必要です。

・当事者間で贈与契約が成立している(意思の合致)

・受贈者(子や孫)が贈与を認識している

・受贈者が預金を自由に使える状態にある

実際には、通帳も印鑑も被相続人が保管していたり、受贈者が存在すら知らなかったというケースが大半です。

つまり、「あげたつもり」「相続税対策のつもり」ではなく、
実態として“所有者が誰か”が重視されるのが名義預金に関する税務調査の厳しさです。

◆税務署はどこを見ているか?

税務署が名義預金を疑う際には、以下のような点を重点的に調べます。

・預金通帳の保管場所と管理者は誰か

・印鑑を誰が持っていたか

・預金の出入金の記録(振込主、引出先など)

・預金残高の推移と、他の資産との関係性

・過去に贈与税申告がされているかどうか

地主が「名義を変えているから大丈夫」と思っていても、“中身”を見れば税務署にはバレるというのが実情です。

第2部:地主が名義預金をしてしまう背景とそのリスク

◆土地の評価対策に気を取られて、預金に無頓着な地主たち

多くの地主は相続税対策として、土地の小規模宅地等の特例や不動産の評価減には敏感ですが、
現金・預金の対策は意外と疎かになりがちです。

・地主の多くが高齢になっても財産の管理を自分で行っている

・通帳や印鑑をまとめて保管している

・生前贈与の名目で家族名義にお金を移すが、契約書もなければ申告もしない

こうした習慣が「名義預金リスク」を高めているのです。

◆税務調査で発覚するとどうなるか?

相続税の税務調査では、被相続人の死亡前の数年分の預金取引を細かく精査します。

そこで名義預金が見つかると…

・名義預金分が相続財産に加算される

・過少申告加算税や延滞税が課される

・最悪の場合、重加算税の対象になる

たとえば、地主が自分名義以外に3000万円の名義預金を持っていた場合、
税務調査で指摘されれば、相続税の納税額が数百万円単位で増えることもあります。

◆家族間でトラブルになるリスクも

名義預金があると、相続人間の感情的なトラブルの火種にもなります。

「お父さんは私に贈与してくれたのに!」

「兄ばかりお金をもらっていたなんてずるい!」

「知らなかったのに、税金だけ押し付けられた!」

地主が遺産分割や生前贈与について明確にしていなかった場合、相続人同士の不信感を招きやすいというのも名義預金の怖さです。

第3部:地主が今からできる名義預金リスクへの対応策

1. 贈与契約書を作成する

名義を変えただけでは贈与と認められません。
地主が家族にお金を渡す場合は、必ず贈与契約書を作成しましょう。

・「誰に」「いくらを」「いつ」「どういう目的で」贈与したのか

・受贈者の署名・捺印も入れること

・金額が大きければ贈与税の申告もセットで行う

これにより、税務署から見ても「形式と実態の両方が整った贈与」として扱われやすくなります。

2. 通帳・印鑑の管理権限を分ける

孫や子供名義の口座であっても、地主本人が通帳・印鑑を管理している状態では“自分の資産とみなされる”のが通例です。

・名義人本人に通帳と印鑑を渡す

・定期的に引き出して本人の使途に充てていることを確認する

・必要があれば引き出し記録を残す

地主としても、「本当にあげたのか」「管理しているだけなのか」を明確に分ける必要があります。

3. 専門家と連携し、早めに財産の棚卸をする

名義預金の有無を自分で判断するのは困難です。
地主の資産が多岐にわたる場合は、税理士・司法書士などと連携し、早い段階で資産全体の棚卸をすることが肝要です。

・自分名義の預金以外にどの名義の口座があるか

・その中身は誰が管理してきたか

・贈与として適正に扱われる根拠はあるか

地主として、こうした資産の“見える化”を行うことで、相続時のトラブルや税務リスクを最小限に抑えることができます。
地主にとって、土地や建物の相続対策は日頃から意識していても、
「預金」の管理や名義変更については意外と見落としがちです。

しかし、税務署が相続税調査で最も注目するのが、形式と実態の不一致=名義預金です。
いくら善意で行っていても、「実質的に誰のものだったか」という点で判定され、
相続税の加算・追徴・重加算税などの厳しい対応を受ける可能性があります。

地主が名義預金リスクから自分と家族を守るには、

・生前贈与のルールを正しく理解し

・通帳や印鑑の管理体制を整え

・専門家と一緒に計画的に財産管理を行う

この3点がとても重要です。

相続対策に完璧はありませんが、地主として避けられるリスクは早めに潰しておくことが、
「家族の安心」「財産の保全」「税務調査対策」すべてにおいて大切な第一歩となるのです。
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