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再建築不可物件を再建築可能に変えるための道 ~地主のための「建て替え不可能」を突破する実務ガイド~

再建築不可物件――。
この言葉を聞いた地主の多くは、

・「この土地はもうダメだ…」

・「売れない、貸せない、建て替えられない」

・「資産としての未来はない」

といった思考に陥りがちです。

しかし、それは地主としての知識が“今の制度”に追いついていないだけかもしれません。
実際には、建築基準法の「但し書き道路制度」や「通行権の確保」、あるいは「接道義務の代替手段」を駆使することで、
再建築不可→再建築可能に変わる道が現実的に存在します。

本記事では、再建築不可物件を再建築可能に変えるために地主ができる具体的ステップを3部構成でわかりやすく解説します。

第1部:「再建築不可」とは何か?地主のための基礎理解

◆建築基準法の接道義務と再建築の可否

再建築不可物件とは、「建築基準法42条で定める道路に2m以上接していない土地」に建てられている建物のことです。

地主が再建築を検討する際には、まず次の点を確認する必要があります。

・接道先の道路が「法定道路」か?(42条1項道路、42条2項道路など)

・接道距離が2m以上あるか?

・現在の道路が私道であれば、通行・掘削の承諾が得られるか?

・法改正前の既存不適格か、そもそも無許可か?

これらの情報がないまま売買や建て替えを検討してしまうと、地主は損失を被るリスクが高くなります。

◆再建築不可のままだと地主が困る理由

再建築不可の状態で放置すると、地主には次のような不利益が生じます。

・建て替え不可=住宅ローンが付かない=買い手がつかない

・空き家放置で近隣トラブル・行政指導のリスク

・相続時に分けにくくトラブルの原因に

・固定資産税はかかり続けるのに、収益化できない

そのため、再建築不可状態を放置せず、再建築可能に変える「道」を探ることが地主にとって重要な戦略となります。

第2部:地主がとるべき「再建築可能化」の3つのアプローチ

アプローチ①:43条但し書き道路による建築許可取得

建築基準法第43条は、本来の接道義務を満たさない土地でも、以下の条件を満たせば建築を認める例外を定めています。

「特定行政庁が交通・安全・防火・衛生上支障がないと認め、建築審査会の同意を得た場合はこの限りでない」

つまり、地主が対象土地に関して

・通路の幅員が1.8m以上あり

・他人地を通っていても通行実態がある

・火災時の安全性や避難経路が確保できる

といった条件を整えた上で行政と交渉すれば、建築許可が出る可能性があるのです。
この手法は「但し書き道路」と呼ばれ、多くの都市部地主が再建築の道を開いています。

アプローチ②:通行承諾・掘削同意の取得

再建築不可物件の多くは、「通路はあるが、所有者が他人地」というパターンです。

地主はまず、

・通行承諾書(通路利用の承認)

・掘削承諾書(水道・ガス・下水道などの工事許可)

を得る交渉を行う必要があります。

これらは書面化されていなければ、建築確認申請時に通らない可能性があります。

地主が他人地を通ることに慣れていても、「慣習」と「法的な通行権」は別物であるため、早めに承諾書を取得し、
できれば「地役権設定登記」まで行うことがベストです。

アプローチ③:隣地との買収・等価交換・分筆

再建築不可の根本は「接道義務を満たしていない」という点にあります。
そのため地主としては、隣地を取得または等価交換して、2m以上の接道を確保する方法も有効です。

・隣地を買い取る→一体で売却・建築が可能に

・自分の土地の一部を渡し、代わりに接道部分を取得

・売却前に分筆し、接道部分だけ活かす

このような柔軟な戦略を地主がとることで、「再建築不可」のラベルを剥がし、資産価値を一気に回復させることが可能となります。

第3部:地主が実務で気をつける法的・税務的ポイント

◆建築審査会の同意は“形式”ではなく“実質審査”

但し書きによる建築許可には、建築審査会の同意が必要ですが、これは形式的な許可ではありません。
地主が準備すべき書類には、

・建築計画概要書

・敷地周辺図(避難経路・火災対応含む)

・現地写真・通路状況

・地域住民の同意書(必要な場合もあり)

などがあり、行政が実際に現地確認も行う場合があります。
このため、建築士や行政書士との連携が非常に重要になります。

◆通行権トラブルとその対処法

地主が再建築を狙って通行承諾を求めたとき、隣地所有者が反対するケースも少なくありません。

・「今さらそんなもの渡さない」

・「金を払え」

・「うちに迷惑がかかるからNG」

こうした場合、地主としては

・調停・民事訴訟による通行権確認訴訟

・弁護士・測量士との連携による事実整理

・地役権設定登記による明文化

などの対処を冷静に進める必要があります。

また、将来的に売却を視野に入れるなら、トラブル解消後に登記済の地役権として残すことが望ましいです。

・地役権登記により、買主が安心して融資を受けられる

・承諾書だけでは不十分(将来的に無効主張される可能性あり)

・公的書面として登記簿に残すことで「価値ある土地」に格上げ

つまり、地主としては“通行を黙認してもらっている”だけでは再建築可にはならず、
法的に根拠のある通行権・利用権を確保することが重要な鍵となります。

◆再建築可能化による評価と税の変化

再建築不可だった土地が、再建築可能に変わった場合、地主が気を付けるべきなのが不動産の評価額と税務の変化です。

・相続税評価額が上がる可能性(特に更地・整形地に近づく場合)

・固定資産税が上昇する場合も(建築可能性によって区分変更)

・売却時に譲渡所得が増える可能性(評価が上がるため)

逆に言えば、再建築不可状態である間は、税制上の“評価減”メリットを享受できるため、
建築可能化のタイミングや相続対策・売却時期は、地主として総合的な判断が求められる場面になります。

税理士・不動産鑑定士といった専門家との連携が必須です。
「この土地は再建築不可だから…」と、諦めてはいけません。

むしろ地主にとって、再建築不可物件は以下のように活用のチャンスを秘めています。

・【法制度】但し書き制度を使えば再建築が可能になる

・【交渉力】通行権や掘削承諾を取得すれば住宅用途にも変わる

・【戦略性】隣地との等価交換・一体化で価値が飛躍的に上昇する

・【節税効果】再建築不可の間は、税制上の評価が抑えられる

地主として重要なのは、「制度を知らないこと」によって損をすることを避ける姿勢です。

再建築不可物件は、確かに難しい不動産ですが、
正しく情報を収集し、的確に手続きを踏めば、再建築可能=資産価値が回復する道が開かれます。

「もうダメだ」ではなく、
「どうすれば活かせるか?」と問い直す。

それこそが、地主に必要な思考法ではないでしょうか。
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