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底地を担保にできるのか?金融機関の視点 〜地主の立場から見た“資産価値の本質”〜

地主として底地を所有していても、実際の活用に悩む方は少なくありません。
「地代は入るけど金額が低い」「売却したいけど買い手がつかない」「子どもには引き継ぎたくない」といった声が、全国の地主の間で聞かれます。

特に、地主が金融機関から融資を受けたいと考えたとき、「この底地は担保になりますか?」と聞いても、はっきりした答えが返ってこないことが多いのが実情です。
底地は確かに「土地の所有権」ではありますが、借地権という制約がある以上、自由な利用や売却が難しく、資産評価も特殊な扱いになるのです。

本記事では、地主が所有する底地について、「担保価値」という観点から、金融機関の見方や評価方法、融資に使える可能性、そして地主が取りうる選択肢を3部構成で解説します。

第1部:底地が「担保になりにくい」と言われる理由

■ 地主の期待と、金融機関の現実

地主からすれば、「土地の所有権を持っているのだから、当然担保になるだろう」と思うのは自然な感覚です。
しかし、金融機関にとって重要なのは、「万一返済が滞った際、その資産をどう回収するか」です。

底地は以下のような理由から、金融機関にとって担保価値が低い、または評価しづらいとされています:

・借地人の借地権が強く、地主は自由に売却・処分できない

・地代収入が少なく、実質的な収益性が乏しい

・借地契約の条件により、買い手が限定される

・競売にかけても、入札者が現れにくい

このため、多くの金融機関では底地を“積極的に担保に取らない”か、“極めて低い評価”しかしないのが現実です。

■ 担保評価額は「実勢価格の30%未満」も

仮に地主が底地の時価(実勢価格)を4000万円と見込んでいたとしても、金融機関側の担保評価は

・借地権割合が70%

・底地の価値=4000万円×30%=1200万円

・担保掛け目(80%)=960万円

→ 実際に貸してくれる融資額=500万〜800万円程度

このように、地主の想定額と、金融機関の融資額に大きな乖離が生じるのが、底地担保の特徴です。

■ 担保評価を下げる要因(金融機関の視点)

金融機関は以下の点をチェックして、担保評価を判断します。

・借地契約の内容(期間、更新条項、地代額)

・借地人の信用状況・年齢

・建物の構造・築年数

・相続・共有状態の有無

・将来的に一体化の可能性があるか

地主としては、これらの条件が“不透明”であるほど、担保評価が下がる傾向があると理解しておく必要があります。

第2部:地主が底地を担保にする3つの戦略

■ 戦略①:底地の「安定収益性」を証明する

担保評価において、「その資産が毎月どれだけ安定収益を生むか」は大きなポイントです。
地主が行うべきは、以下のような“数字で見せる”努力です:

・過去3〜5年分の地代収入明細

・借地人の支払い状況(滞納なしなど)

・地代の見直し交渉履歴

・借地契約のコピー(正確な地代設定が確認できる)

金融機関は「資産としての価値」だけでなく、「キャッシュフローの安定性」に注目しています。
地主として、不動産賃貸業の一環としての底地運営をアピールする姿勢が大切です。

■ 戦略②:借地人との協議で「一体化」または「承諾権強化」

担保評価が上がりやすいのは、次のようなケースです。

・借地人との合意により、将来的な買戻し・一体化の余地がある

・建て替え・譲渡時の承諾権を地主が持っている

・契約に解除条件や更新条件が明記されている

地主として、借地人との関係を改善し、「自分がその土地に関して一定の主導権を持っている」ことを証明できれば、金融機関からの信頼は高まります。

■ 戦略③:地元の信用金庫・信販系の金融機関を狙う

メガバンクや都市銀行では、底地の担保化は非常にハードルが高いですが、地域密着型の金融機関では柔軟に対応してもらえる可能性があります。

・地元の借地市場や事情に精通している

・地主の実績や地域貢献を加味するケースも

・実務上は「実地調査→総合判断」で進むことが多い

地主としては、都市部の一括審査型より、相談ベースでじっくり話を聞いてくれる金融機関とのつながりを持つことが鍵となります。

第3部:地主が今できる「底地担保」対策の実務ポイント

■ 実務①:担保に出す前に「底地の見える化」を行う

地主が底地を担保にしたいと考えたら、まずやるべきは

・底地の権利関係の整理(借地人・共有者など)

・契約書・地代証明書・課税明細書の整備

・土地の登記簿・公図・境界確認の取得

・地代収入を一覧化したキャッシュフローデータ作成

これにより、底地の“価値”を数字や書類で説明できる状態を整えることができます。
地主が「見える化」を怠ると、金融機関はリスクと判断して担保拒否につながるのです。

■ 実務②:第三者評価を取得する(不動産鑑定士など)

地主が底地の価値を主張する際、「根拠」が必要です。
地代・借地割合・将来価値などを含めた不動産鑑定士による評価書を取得すれば、金融機関に対する説得力が一段と増します。

・鑑定評価は10万円前後〜

・金融機関の信用調査資料として活用可能

・将来的な売却・分割の基準にもなる

地主自身が主観で「この土地は高い」と主張しても意味はありません。
第三者の評価こそが金融機関にとっての“担保価値”の物差しになります。

■ 実務③:資金使途と事業計画を明確にする

金融機関にとって、担保価値以上に重要なのが「その融資で何をするか」です。

地主が資金を借りたい理由が

・相続税支払い

・収益物件への投資

・アパート建築のための資金

・不動産信託への資産組み換え

など、明確かつ返済可能性の高い計画であれば、多少担保評価が低くても融資されるケースはあります。

地主が「なぜ今、この融資が必要なのか」を明確に伝えられることが、交渉の鍵です。
「底地は担保にならない」というのは半分正しく、半分誤解です。
たしかに制限のある不動産ではありますが、地主が情報を整理し、適切に金融機関と向き合えば、担保として評価される可能性は十分あります。

◆ 地主が底地を担保にするための3ステップ

1.底地の権利関係・収益性を「見える化」する

2.借地人との関係・契約内容を整理する

3.金融機関に対して“具体的な資金使途”と“返済計画”を説明する

担保にできるかどうかを決めるのは金融機関ですが、評価されるかどうかは、地主の準備と戦略にかかっているのです。
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