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借地権付き建物の取り壊し時に起きるトラブル 〜地主が知っておくべき交渉と予防策〜

「借地人が建物を取り壊すと言ってきた…これって更新拒絶のチャンス?」「取り壊し後に勝手に建て替えられたら困る」——
こうした声は、実際に多くの地主から寄せられています。

借地権付き建物は、地主が土地を貸し、借地人がその土地に建物を建てて使用している状態。
この建物を借地人が取り壊すとなると、地主側にも大きな影響が及びます。

本来ならば地主が自由に活用できるはずの土地。しかし、借地権がある限り、地主は自らの土地を自由に使うことはできません。
では、建物の取り壊しは地主にとって好機なのか、それともリスクなのか?

本記事では、「借地権付き建物が取り壊されるときに地主が直面する3つのトラブル」と「事前にできる対応策」について、具体例を交えて解説します。

第1部:そもそも借地権付き建物とは何か?地主が知っておくべき基礎知識

■ 借地権付き建物の仕組み

借地権付き建物とは、他人の土地(=地主の土地)に借地人が建てた建物のことです。
地主は土地の所有者ですが、借地契約が存在する限り、その土地の利用を制限されます。

一般的な構造は以下の通りです

土地:地主の所有

建物:借地人の所有

借地契約:数十年単位、旧法借地が多い

この状態が長期化することで、地主にとって土地活用の自由度が低下していきます。

■ 地主が直面する典型的な課題

1.契約の自動更新問題
旧法借地では、契約期間が満了しても借地人が使用を続ければ自動更新されます。

2.建替え・再建による権利更新
借地人が建物を取り壊して新築した場合、それにより契約更新が行われてしまうこともあります。地主としては大きなリスクです。

3.地代の不満
長年据え置かれている地代が現在の地価に見合わず、収益性が低くなっている地主が多いのが実情です。

第2部:借地人の取り壊しで地主が遭遇する3大トラブル

■ トラブル①:事前連絡なしに建物を取り壊された

多くの地主が直面するのが、「気づいたら建物が取り壊されていた」というケース。
借地人が自己所有の建物を壊す場合、原則として地主の同意は不要ですが、地主の立場からすれば「再建」されると土地活用がさらに先送りになります。

地主にとっては、建物の取り壊しは借地契約終了のチャンスである一方、事前連絡がないことで交渉機会を失ってしまうリスクがあります。

■ トラブル②:建物取り壊し後、勝手に新築される

建物を取り壊した借地人が、地主に無断で再建してしまうケースもあります。

実際、地主の同意がないまま新築が行われると、「無断再建築」となり契約違反になりますが、裁判所は信義則や長年の慣習に基づき再建を認める判決を出すこともあります。

地主としては、事前に「再建築時には書面で承諾を要する」といった契約条項を明示しておかないと、主張が通りにくくなる可能性があります。

■ トラブル③:建物の撤去後も借地権が消えない

建物が取り壊されたからといって、借地権が自動的に消えるわけではありません。
地主の中には「建物がない=借地権消滅」と誤解している方もいますが、法律上は建物が滅失しても借地人が再建の意思を示せば借地権は存続します。

地主としては、再建前に更新拒絶の意志を明確にしなければ、再度の建築を許す結果になりかねません。

第3部:地主がとるべき予防策と交渉テクニック

■ 対策①:借地契約書の見直しと更新

まずは、現在の借地契約がどのようになっているかを把握することが重要です。

・建替えの際、地主の承諾が必要か

・再建築の際の通知義務は明記されているか

・契約期間と自動更新の有無

こうした項目を精査し、地主にとって不利な内容であれば、定期借地契約への変更交渉や公正証書化を検討しましょう。

■ 対策②:借地人との対話と交渉を重視する

地主が一方的に拒否をしても、借地人との信頼関係がなければ解決は困難です。
建物取り壊しや再建をめぐる交渉は、法的な争いになる前に、信頼ある対話で合意形成を目指すことが最善です。

地主としては、以下のようなスタンスが望ましいです:

・建て替えや解体の意向を事前に確認

・「立ち退き」や「契約終了」の選択肢を示す

・公正証書による合意文書の作成

■ 対策③:専門家を交えてトラブル予防
建物取り壊しに関する借地権トラブルは、非常に専門的な判断を要します。
地主一人で判断すると、思わぬ落とし穴にはまるリスクがあるため、弁護士や不動産の専門家のサポートを受けながら慎重に進めるべきです。

また、相続対策として土地活用を考えている地主であれば、「再建される前に底地を整理する」ことが選択肢として有効です。
借地権付き建物の取り壊しは、地主にとって「契約を見直す」「借地関係を終わらせる」好機である一方、事前準備と交渉を怠ると再建を許してしまうリスクがあります。

ポイントは以下の通りです

・借地契約の条項を把握し、地主としての権利を明確にする

・建物取り壊しの際には、再建の可否を明示的に交渉する

・借地人との信頼関係を活かして、法的な争いを未然に防ぐ

・専門家の支援を受けて、地主の資産を守る行動を取る

地主として、感情や惰性に流されることなく、冷静な判断と準備、そして信頼をベースにした交渉力が問われます。

借地権付き建物の「取り壊し」というイベントを、地主の立場から有利に進めるために、今できることから一歩踏み出しましょう。
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