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借地契約の更新拒絶は可能?法的判断基準 〜地主が知っておくべき交渉戦略と法的知識〜

土地を貸している地主にとって、契約満了は大きな転機となります。
「この契約を機に借地関係を終わらせて、自分で活用したい」「子や孫の世代に土地を戻したい」と考える地主は少なくありません。

しかし、いざ契約更新のタイミングが来ても、現実には「借地契約の終了=借地人の立ち退き」にはならないという厳しい現実があります。
借地人が契約の更新を希望している場合、地主が一方的に拒絶することは法律上非常に難しく、特に旧法借地権では**「正当事由」が必要**とされています。

実際、多くの地主が「更新を断ることができない」「立ち退いてもらえずに活用ができない」といった悩みに直面しています。
本記事では、地主が借地契約の更新拒絶を検討する際に押さえるべき法的判断基準と、トラブルを避ける実践的な対応策を3部構成で詳しく解説します。

第1部:借地契約の種類と更新制度の基本を地主は理解すべし

■ 借地契約には2種類ある

借地契約には大きく分けて2つの種類が存在します。

・旧法借地権(借地借家法施行前)
 → 自動的に更新される。地主が契約終了を主張するには正当事由が必要。

・定期借地権(平成4年以降)
 → 更新されず、満了で確実に契約終了。ただし契約時の厳格な手続きが必要。

この違いを理解していない地主は意外と多く、思わぬトラブルに発展することもあります。

■ 更新制度の仕組みと地主の誤解

多くの地主が陥る誤解の一つが、「契約期間が満了すれば自然に終了する」と考えている点です。
しかし旧法借地権では、契約期間満了後も借地人が土地を使い続けていれば、従前の契約と同じ条件で自動更新されたものとみなされるのです(借地借家法第5条参照)。

したがって、地主が「今回は更新しません」と一方的に通告しても、それだけでは契約終了にならないのです。

第2部:地主が更新拒絶できるのは「正当事由」がある場合のみ

■ 正当事由とは何か?

借地契約の更新を拒絶するには、地主に「正当事由」があることが必要です。
この「正当事由」とは、以下の複数の要素を総合的に判断して裁判所が決定します。

◎ 正当事由の判断要素

・地主自身が土地を必要としているか(例:自宅を建てたい、家族の介護施設を作りたい)

・借地人の使用実態(例えば土地が放置されているなど)

・地代の支払状況(未払い・滞納がある場合)

・立ち退きに対して地主が「立退料」を提示しているかどうか

これらを踏まえ、地主がどれだけ真摯に「土地を使いたい理由」を説明できるかが鍵になります。

■ 裁判所の判断基準と地主の実情

裁判例を見ても、地主側の正当事由が認められるハードルは非常に高いです。

例えば、「子どもの住まいを建てたいから返してほしい」と主張しても、借地人が長年にわたって契約を守っていた場合、裁判所は簡単には地主の主張を認めません。

つまり、地主が更新拒絶をするには、

・計画性があること(将来的な土地活用の具体性)

・借地人にとっての不利益を軽減するための誠意ある対応(立退料など)

が必要です。

■ ケーススタディ:更新拒絶が認められた例

・都内の地主が、自宅が老朽化して危険であり、土地を借地人から返してもらって自宅を再建したいと主張。借地人に対して立退料500万円を提示。

→ 正当事由が認められ、契約終了が認められた。

・地主が土地を相続し、相続税納付のために売却を予定。借地人に事情を丁寧に説明し、弁護士を介して立退交渉。
 
→ 最終的に合意解約となり、裁判に至らず更新を回避できた。

第3部:地主が実践すべき更新交渉とリスク回避のステップ

■ ステップ①:契約満了前から準備を始める

地主が更新拒絶を目指す場合、契約満了の1〜2年前から準備を始めることが重要です。

・契約内容と履行状況を整理

・借地人の利用状況を確認

・地主側の土地使用目的を具体化

・専門家(弁護士・司法書士)へ相談

これらを怠ると、借地人に「準備不足の言いがかり」と受け取られる可能性が高くなります。

■ ステップ②:誠実な交渉と立退料の提示

借地人が長年誠実に土地を借りてきた場合、突然の更新拒絶には強い反発が生まれがちです。
地主としては、「誠実な交渉」と「立退料の提示」が信頼構築の鍵となります。

立退料の相場は一律ではありませんが、以下のような基準が参考になります。

老朽化して無価値 100万円〜300万円

築浅かつ自用建物 500万円〜1000万円

※あくまで目安です。具体的には鑑定士による評価が推奨されます。

■ ステップ③:調停や裁判を見越した証拠の確保

もし話し合いが決裂した場合に備えて、地主としては以下の書類・証拠を準備しておくべきです。

・地代の滞納履歴や督促記録

・自用利用計画の資料(設計図や見積もりなど)

・借地人との交渉記録(メール・書簡・議事録など)

地主としての主張を裏付ける書面が揃っていれば、交渉も優位に進められます。
借地契約の更新拒絶は、法律的にも精神的にも地主にとって負担が大きいものです。
しかし、しっかりと準備をし、正当な理由と誠実な交渉姿勢を持てば、道は開けます。

地主が「土地を有効に使いたい」という思いは当然の権利です。
その一方で、借地人にとっても生活基盤であり、両者のバランスを取ることが重要です。

・地主としての法的知識を持つ

・借地人の立場にも配慮する

・信頼関係を壊さない交渉姿勢を保つ

この3つを意識して、地主としての土地活用をスムーズに進めていきましょう。
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