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借地権とは?地主が知っておくべき基礎知識 〜知らなかったでは済まされない「貸した土地」の本当の価値とリスク〜

「自分は土地を持っているから、アパートを建てるまでは貸しておこう」
「収益があるなら、借地として貸してもいいかも」
そんなふうに軽い気持ちで“土地を貸す”ことを考えていませんか?

実は、地主が土地を貸すことには、大きな法的・経済的な影響があるのです。
中でも知っておかないと後悔するのが、「借地権」という考え方です。

借地権とは、**他人に自分の土地を使わせる(=借りさせる)ときに発生する“権利”**のこと。
いったん設定すると、地主でも簡単には取り消すことができない強力な権利が生まれます。

「土地は自分のものなのに自由に使えない…」
「返してほしいのに立ち退いてくれない…」
「売りたくても借地権付きじゃ売れない…」

そんなトラブルに巻き込まれないためにも、地主として借地権の基礎はしっかり押さえておくべきです。

この記事では、「借地権」の基本から、地主として注意すべきポイント、更新・売却・トラブル対策まで、わかりやすく3部構成で解説します。

【第1部】借地権とは何か?地主が最初に理解すべきこと

■ 借地権の基本定義とは?

借地権とは、他人の土地に建物を建てて住んだり事業をしたりするための「土地を借りる権利」のことです。
そして地主は、その「土地を貸す側」であり、借地人に土地の使用を認める契約を交わす立場になります。

この借地権は、建物がある限り法的に強く保護されるのが大きな特徴です。

■ 借地権は大きく分けて2種類ある

①旧借地権(旧法借地権)
・借地借家法以前(1992年より前)の契約
・原則として更新され続け、地主からの終了申し入れが非常に困難

②定期借地権(新法型)
・借地借家法改正後の契約
・契約期間終了後に確実に返還される(再契約は要協議)

地主にとって重要なのは、「旧借地権のままだと半永久的に土地を返してもらえない」という点です。

■ 借地契約が地主に与える影響とは?

・ 土地の自由度が著しく制限される
いったん建物が建つと、「正当な理由がない限り解約できない」ため、地主の判断だけでは返還させられません。

・ 売却が難しくなる
借地権が設定されている土地は「借地権付き底地」となり、市場価格が通常の3割〜5割程度に下がることも。

・ 相続時にもトラブルの火種に
地主が亡くなったあと、相続人が借地人と揉めるケースも少なくありません。

⇒ 借地権は、「貸すときより返してもらうときが難しい」。これが地主にとっての最大の盲点なのです。

【第2部】地主が知るべき借地権の運用ルールと注意点

借地契約は、原則30年(初回)+更新時は20年以上とされています(旧法)。
しかし、実際には「自動更新」「黙示の更新」などで、実質的に地主から終了させることは極めて困難です。

【地主から更新拒絶できるのは…】

・借地人の契約違反が明確

・自身や家族がその土地を使う切実な必要がある

・借地人に正当な補償金を払う用意がある

⇒ 実務上、**地主からの立退き交渉は時間もコストもかかる“難関プロジェクト”**です。

■ 地主と借地人の関係性の重要性

長期間にわたり土地を貸す関係は、「賃貸」ではなく「準パートナーシップ」に近い関係になります。

地主が無理な条件変更を求めたり、借地人との意思疎通を怠ると、争いごとに発展しやすくなるため、以下の姿勢が大切です

・契約内容の明確化(文書で残す)

・増改築や譲渡の際の承諾基準を明確にする

・更新時には専門家を交えて交渉する

地主こそ、「信頼関係の維持」と「専門知識の導入」が重要です。

■ 借地契約時に地主が確認すべきポイント

地代設定・・・市場相場と固定資産税を加味し、定期見直し条項を設定
契約形態・・・旧法型か定期型か?将来の返還条件が違う
建築制限・・・建物の構造・用途・増改築についての制限を明記
承諾料・・・増改築・譲渡・担保提供の際のルールと費用設定
保証人・・・契約者が死亡・失踪した場合のリスクヘッジを考慮

【第3部】地主が借地権を味方につけるための戦略

■ 定期借地権という“地主優位型”の契約を活用せよ

定期借地権は、1992年の借地借家法改正により生まれた、「期間満了時に確実に土地が戻る」制度です。
地主にとっては、30年後の土地返還を見越して収益と資産形成の両立ができる理想的な形です。

【主な定期借地権の種類】

①一般定期借地権
・原則として再契約不可
・50年以上

②事業用定期借地権
・店舗・事業目的限定
・10年以上30年未満

➂建物譲渡特約付き
・建物と引き換えに返還
・30年以上

⇒ 今後地主が土地を貸すなら、「定期借地権をベースに検討する」のが賢明です。

■ 借地権付き底地の活用・売却の選択肢

すでに借地権が設定されてしまっている土地を持つ地主でも、あきらめる必要はありません。

【活用方法】

・借地人との協議により底地・借地権の等価交換

・借地人に土地売却→一括所有に切り替え

・借地権付き土地として収益物件化・売却

⇒ 借地人と対立するよりも、“ウィンウィン”の関係を模索する方が地主にとっても得策です。

■ トラブル防止には専門家の活用を

・弁護士(借地借家法に詳しい専門家)

・不動産コンサルタント(底地再生の実績あり)

・税理士(相続や贈与時の評価の見直し)

地主が独断で判断せず、必ず第三者を交えて交渉・管理を行うことが長期的な安心につながります。
地主こそ「借地権リテラシー」を身につけよ
借地権は、土地を貸すという行為に伴う「目に見えない責任と制約」を意味します。
特に地主にとっては、「貸す=将来の自由を差し出す」という行為にもなり得ます。

・借地契約は慎重に行うべし

・定期借地権の活用で地主の利益を守る

・借地権付き土地でも戦略的に活かす道はある

地主として、“法律・契約・収益”のバランスを見極める力が今ほど求められる時代はありません。
借地権を「難しいから避ける」のではなく、「理解してうまく使う」ことで、地主としての資産価値を最大限に活かしていきましょう。
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