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地主さん向けコラム


地主さん向けコラム

太陽光発電ビジネス、2025年の採算ラインとは?

かつて「空き地に置くだけで稼げる」と言われ、多くの地主が飛びついた太陽光発電ビジネス。
特に2012年の固定価格買取制度(FIT)導入以降は、土地を持つ地主にとって魅力的な投資先となり、郊外や地方での設置ブームが巻き起こりました。

しかし――時代は変わりました。
2025年現在、売電単価の下落、制度の複雑化、メンテナンスコストの増加、そして環境規制など、多くの変化が進んでいます。
「とりあえず太陽光」は、もはや通用しない時代に入っているのです。

それでも、使っていない土地を持て余している地主にとって、太陽光発電は依然として魅力的な選択肢。
では今、何をどこまで把握しておけば「赤字投資」を避けられるのか?

この記事では、地主の立場から見た2025年時点での採算ライン・成功事例・リスク要因を3つの視点で解説します。
「失敗しないために、今すぐ知るべきリアルな基準」を明らかにしていきます。

【第1部】2025年の売電単価と投資回収の“現実”

■ 地主にとって最大の関心「いくらで売れるのか?」
2025年現在、太陽光発電のFIT(固定価格買取制度)に基づく売電単価は、10kW以上50kW未満の低圧発電設備で1kWhあたり9.5〜10.0円前後が相場とされています。
これは、2012年当初の40円台と比較すると、実に4分の1程度まで下がっています。

■ モデルケース:50kWの太陽光設備を設置した地主の例

設置費用:約1,000〜1,200万円(架台・パネル・工事含む)

年間発電量:5万kWh前後(地域差あり)

年間売電収入:約50万円前後(@10円)

回収期間:約20〜25年

ここで注目すべきは、売電だけで元を取るには非常に時間がかかるということ。
加えて、パワコンの寿命(10年)やメンテナンス費用も考慮すると、単純な計算では採算が合わないケースも増えています。

■ 地主の立場での注意点

【税金】償却資産税や所得税に注意。個人名義だと課税が重い

【減価償却】法人所有なら節税メリットも大

【土地の用途地域】市街化調整区域では設置不可・制限あり

⇒ 売電単価だけを見て「儲かる」と判断するのは、地主にとって非常に危険です。

【第2部】「儲かる地主」と「損する地主」の分かれ道

■ 成功している地主の特徴とは?

① 土地の取得・造成費がかかっていない
相続で取得、またはすでに所有している遊休地

農地転用が不要な地目(雑種地・宅地)

② 設備のスケールメリットを活かしている
低圧ではなく高圧(50kW超)で設置し、分散設計

自己資金を抑え、リース+銀行融資を活用

③ 売電+αの収益モデルを実践している
EV充電併設、蓄電池シェア、農業ソーラー(ソーラーシェアリング)など

自家消費(工場や倉庫と併用)で電気代削減効果をプラス

⇒ 成功している地主は、「ただ売る」ではなく「どう付加価値を付けるか」を考えているのが共通点です。

■ 失敗してしまう地主の傾向

・「土地があるから」と何も考えずに始める
設置後に日陰ができて発電効率が落ちる、雑草処理ができず稼働率が下がるなど、見落としによるロスが大きい。

・メンテナンスを怠って故障に気づかない
年に1回の定期点検すら行わず、5年後にパネルが焼けていた――というケースも。

・想定外の税金・保険料で利益を圧迫
償却資産税、地目変更による固定資産税増加、台風被害時の補償不足など、お金が出ていく要素を見逃しがち。

⇒ 失敗する地主の多くは、「初期費用」しか見ておらず、運用後の現実を想定していないことが原因です。

【第3部】2025年における「採算ライン」の見極め方

■ 地主向け 採算チェックリスト(低圧モデル)

・土地
○ 所有地・整地済
× 借地・傾斜地・農地

・日照条件
○ 南向き、影なし
× 東西向き、近隣建物の影あり

・発電規模
○ 50kW以上(高圧)
× 10kW未満(住宅用)

・自己資金
○ 少ない(融資活用)
× 全額自己資金で回収困難

・管理体制
○ 定期点検あり
× 放置・無管理

■ 売電単価だけでなく「発電効率×運営体制」で判断を

売電価格は国が決めるため、地主にコントロールできません。
しかし、**発電効率(パネルの性能・設置角度)や管理体制(雑草対策・遠隔監視)**は地主の努力で改善可能です。

また、「売る」だけでなく、自己消費+電力会社とのPPA契約(電力供給契約)を組み合わせることで、電力単価を25円以上に引き上げる事例も出ています。

⇒ つまり、地主が目指すべきは「発電量を最大化し、収益モデルを多層化すること」です。
2025年の今、太陽光発電は「誰でも儲かるビジネス」ではありません。
むしろ、地主の知識・準備・管理体制の有無によって、大きく明暗が分かれる投資です。

地主として最初にやるべきは、「採算シミュレーション」と「日照診断」

その次に必要なのは、「制度の理解(FIT or 非FIT)」と「専門家の連携」

そして最後に重要なのは、「管理・点検・出口戦略の準備」

太陽光発電は、“パネルを置いたら終わり”ではなく、**“設置後も継続して管理し続ける事業”**です。
地主という特権的な立場を最大限に活かすには、「長期視点」と「収益構造の多様化」が必須です。

空き地や遊休地を眠らせておくよりも、社会貢献にもつながる発電事業に活用できるなら、それは地主にとって大きな意義になります。
ただし、**正しい知識と準備がなければ、赤字リスクの高い“地雷投資”**になりかねません。

「太陽光にするべきか?」ではなく、「どうすれば太陽光で“得する地主”になれるか」――。
その視点を持って、冷静な判断をしていきましょう。
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