月極と時間貸し、どっちが得?駐車場経営比較
土地活用の定番とも言える駐車場経営。中でも多くの地主さんが悩むのが「月極にするか?時間貸しにするか?」という選択です。
月極駐車場は「毎月の安定収入」が魅力。一方で、コインパーキング(時間貸し)は「高回転で高収益を狙える」とされます。
どちらが得かは一概に言えません。大切なのは、それぞれの収益構造や管理負担、初期投資、税務リスクを把握した上で、自分の土地とライフスタイルに合った方を選ぶことです。
収益性とコストの比較:数字で見る現実
■ 月極駐車場の特徴
固定賃料(月額1台あたり:都内2〜4万円、地方5,000〜15,000円)
毎月の安定収入(10台で月30万円など)
契約が長期化しやすく、空室リスクが低い
■ 時間貸し(コインパーキング)の特徴
利用単位は15分〜1時間(都内繁華街で1日5,000〜15,000円の売上も)
利用者の回転率と需要で収益が上下
土日祝・時間帯によって極端な収入差あり
■ 初期費用と設置コストの違い
【月極】
設備 :簡易舗装・区画線・看板
初期投資:30〜100万円
ランニングコスト: 軽微(清掃・維持)
【時間貸し】
設備 :ロック板、精算機、照明、防犯カメラなど
初期投資:300万円以上になることも
ランニングコスト:機器保守・電気代・清掃
→ 低コスト&安定重視なら月極、収益性を狙うなら時間貸し。ただし後者はリスクも高い。
管理・トラブル・税務の落とし穴
■ 管理面の違い
月極は「契約者対応(更新、苦情、滞納など)」
時間貸しは「設備管理(機械の故障、トラブル客対応)」が発生しやすい
委託管理に出すことで手間は減らせますが、コストが収益を圧迫することもあります。
■ トラブル事例
【月極】契約名義の転貸、無断使用など
【時間貸し】精算機の故障、ロック板の誤作動、ゴミ放置、悪質利用者の迷惑行為
■ 税務と地目の違い
地目変更で固定資産税が跳ね上がる可能性あり(宅地→雑種地)
時間貸しは「事業所得」とされ、所得税+消費税も発生
アスファルト舗装も「資産」と見なされ、減価償却の対象に
→思わぬ固定費や課税対象になる可能性があるため、専門家の相談が不可欠です。
目的と土地の立地で「勝てる形」を選ぶ
【月極向き】 時間貸し向き
立地:住宅街・郊外・大学周辺
管理 :極力かけたくない
資金力:少ない
税務対応:シンプルで済ませたい
【時間貸し向き】
立地 :駅前・商業地・病院周辺
管理 :管理体制に余裕あり
資金力:設備投資が可能
税務対応:顧問税理士がいる
コインパーキングが儲かるのは「人と車が動くエリア」での話。郊外で設置しても機械代で赤字になる例は多いです。
一方、月極でも長期的に空車が続くような立地では、収益の限界が見えることもあります。
→ 最初は小規模で試し、反応を見てから拡大・転換を検討するのも賢い選択です。
駐車場経営に「絶対正解」はありません。
でも、土地の立地特性・初期投資・管理体制・税務の知識をもとに、無理のない経営スタイルを選ぶことで、安定した資産運用が実現できます。
もし判断に迷ったら、実績のある管理会社や不動産コンサルタントに試算を依頼するのもひとつの手です。