相続対策は「早ければ早いほどいい」納得の理由
「相続なんて、まだ先の話。親も元気だし、自分が死ぬことなんて考えたくない」
そうおっしゃる地主さんは少なくありません。しかし、相続の世界において「先延ばし」は最大の敵です。
地主の相続対策は、単なる書類の手続きではなく、数年、時には数十年単位の「時間」を味方につけることで初めて成立するからです。なぜ「今すぐ」動くことが、結果として数千万円、数億円の差を生むのか。その納得の理由を解説します。
【第1部】相続税対策の王道は生前贈与
・「7年間の持ち戻しルール」というタイムリミット
・暦年贈与を活用した、時間をかけた資産移転の威力
・収益物件から生まれる「新たな現金」を子へ逃がす
相続税を減らす王道は、生前贈与で財産を少しずつ次世代に移すことです。
しかし、税制改正により、亡くなる前「7年以内」の贈与は相続財産に加算されることになりました。
つまり、健康なうちに始めなければ、せっかくの贈与が無効になってしまうのです。
10年、20年というスパンで対策を行えば、無税、あるいは低い税率で莫大な資産を移転できます。「元気なうちに始める」ことは、最高の節税戦略なのです。
【第2部】地主にとっての最大のリスクは意思判断能力の喪失
・認知症による「資産凍結」という恐ろしいリスク
・本人の意思能力がなくなると、売却も修繕もストップする
・「家族信託」などの高度な対策には準備期間が必要
地主にとって最も怖いのは、認知症などで判断能力が低下することです。
一度「意思能力なし」と判断されると、土地の売却やアパートの建て替え、さらには銀行借入を伴う相続対策も一切できなくなります。
これが「資産凍結」です。家族信託などの仕組みを作るにも、本人の理解と納得が不可欠です。
「まだ大丈夫」と思っている間に、打てる手立てがどんどん失われていくのが、地主の相続の恐ろしさです。
【第3部】不動産の整理は時間がかかる
・土地の「境界確定」や「分筆」にかかる膨大な時間
・貸借人との立ち退き交渉や底地の整理は一朝一夕にはいかない
・不動産市況を見極めた「有利な売却」のタイミング
不動産の整理には、とにかく時間がかかります。
隣地との境界が不明確な土地を売却しようと思えば、測量と合意形成だけで半年から1年かかることも珍しくありません。
また、借地権や底地の買い取り、老朽化アパートの立ち退き交渉などは、数年がかりのプロジェクトになります。
相続が発生してから慌てて動いても、足元を見られて安く売る羽目になるか、最悪、納税期限までに現金化が間に合わないという悲劇を招きます。
相続対策とは、いわば「家族の未来をデザインする時間」を確保することです。
早く始めることは、単に税金を安くするだけでなく、家族で話し合う余裕を生み、不測の事態に備える盾となります。
「うちはまだ早い」ではなく「今だからこそできることがある」と考えてみてください。まずは、ご自身の所有する土地のリストを眺めることから始めてみませんか?