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生産緑地の相続 ― 地主が知るべき課題と戦略

地主にとって「生産緑地」は相続時の大きなテーマです。生産緑地とは、都市計画法に基づいて指定され、農業を継続することを条件に宅地並み課税が免除されている土地のことです。地主にとっては固定資産税の優遇措置を受けられる一方で、「30年の営農義務」「勝手に宅地化できない」といった制約もあり、相続が発生した際には子や孫が大きな負担を抱える可能性があります。

特に地主の多くは高齢化が進んでおり、これから「生産緑地をどう承継させるか」が切実な問題になっています。農業を続けるのか、やめて宅地化するのか、それとも売却するのか。地主が判断を誤れば、相続人に思わぬ税負担やトラブルを残すリスクがあります。

本記事では、地主が理解すべき生産緑地の基本、相続時に起こり得る課題、そして地主が取るべき戦略的な対応について、3部構成で詳しく解説します。

第1部:地主が理解すべき生産緑地の基礎と相続の仕組み

◆生産緑地の仕組み

生産緑地は、都市計画区域内の農地のうち「一定面積(原則500㎡以上)」を持ち、営農を継続する意思のある地主が申請し、自治体から指定されるものです。指定を受けると、農地として固定資産税が大幅に軽減されます。

しかし、地主には営農継続義務が課され、30年間は宅地や商業施設への転用ができません。例外は「農業をやめる場合」「相続によるやむを得ない事情」などで、解除には自治体への申請が必要です。

◆相続時のポイント

・農業を続ける場合:相続人が農業を引き継げば、優遇措置を受け続けられる。

・農業をやめる場合:生産緑地の解除を申請し、宅地や駐車場に転用できる。

・相続税評価:生産緑地は「農地」として評価されるため、宅地よりも相続税が軽減される。

地主は「農業を継続するのか」「相続人が農業を続けられるのか」を明確にしておく必要があります。

第2部:地主が直面する相続トラブルとリスク

1. 相続人が農業を続けられない

地主が亡くなった際、子や孫が農業を続ける意思や能力がない場合、営農義務を果たせずトラブルになることがあります。農地を維持できなければ、解除申請をして宅地化や売却を検討せざるを得ません。

2. 相続税の納税資金不足

生産緑地は評価額が低いため、相続税負担を抑えられる一方、流動性が低いというデメリットもあります。地主の遺産がほとんど生産緑地の場合、相続人は納税資金を現金で準備できず、売却を迫られるリスクがあります。

3. 相続人間の不公平感

地主が「長男が農地を相続、次男は現金」といった分割をする場合、生産緑地の評価が不透明だと相続人間で不公平感が生まれます。将来的な宅地化で価値が上がる可能性もあるため、相続人同士の争いに発展することがあります。

4. 2022年の生産緑地法改正の影響

2022年に生産緑地の制度が見直され、特定生産緑地制度が導入されました。地主は指定を延長できるようになった一方で、相続時に「解除か継続か」を迫られる場面が増えています。地主はこの改正を踏まえ、早めに方向性を決める必要があります。

第3部:地主が取るべき生産緑地相続の戦略

1. 生前からの整理

地主は、自分の農地が生産緑地に指定されているかを確認し、家族と共有しておくことが大切です。どの農地を誰に承継させるのか、農業を続けるのか売却するのかを明確にしましょう。

2. 遺言や家族信託の活用

地主は遺言書に「誰が生産緑地を相続するか」「農業を継続するか」を明記しておくとトラブルを防げます。家族信託を使えば、地主が元気なうちに農地の管理を信頼できる人に任せることもできます。

3. 売却や等価交換の検討

生産緑地を解除して売却したり、隣接地主と等価交換を行って資産価値を高めるのも選択肢です。地主にとっては「負動産」を「収益資産」に変えるチャンスになります。

4. 専門家との連携

地主は生産緑地の相続を一人で判断するのは危険です。行政書士、不動産コンサルタント、税理士など専門家と協力して、最適なスキームを構築することが重要です。
地主にとって生産緑地は、相続時に大きな影響を与える特殊な資産です。

・生産緑地は税負担を軽減できる一方、流動性が低く相続人の負担になりやすい

・相続人が農業を続けられない場合、解除や売却が避けられない

・地主は生前から家族と話し合い、遺言や信託を活用して明確な方針を示すことが大切

地主に求められるのは「農業を継ぐか」「宅地化するか」「売却するか」の決断を先送りせず、戦略的に準備する姿勢です。地主が早めに備えることで、家族は安心して相続を受け継ぎ、資産を未来へと守ることができます。
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