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家族信託と任意後見の違いとは? ~地主が将来のために選ぶべき資産管理のかたち~

高齢化が進む日本。
不動産を多く所有する地主にとって、自分の判断力が衰えた後も“資産がきちんと管理される仕組み”を用意しておくことは非常に重要です。

「元気なうちは大丈夫だろう」
「家族が何とかしてくれるはず」
「まだ相続の話には早いよ」

そんな油断が、資産凍結や家族間の争いを引き起こすことが、現実には多々あります。

こうした事態を防ぐために、地主の間で注目されているのが
「家族信託」と「任意後見制度」。

どちらも将来の資産管理を信頼できる人に託す仕組みですが、その性質やできること、向いているケースには大きな違いがあります。

本記事では、地主が自分の状況にあった制度を選ぶために知っておきたい
「家族信託」と「任意後見」の違いを、3部構成でわかりやすく整理します。

第1部:家族信託とは何か?地主にとっての利点と注意点

◆家族信託の基本的な仕組み

家族信託とは、資産の所有者(委託者)が、自分の信頼する人(受託者)に対して、
「この財産を、私のためにこういう目的で使ってください」と契約によって託す仕組みです。

地主が保有する土地・建物・預貯金などを「信託財産」として管理し、
自分が元気なうちは自由に使い、将来の万一のときにもスムーズに管理・処分してもらえるように備えるものです。

◆地主が家族信託を活用するメリット

・判断能力が低下しても資産を凍結させない
 → 認知症になっても、家族が代わりに不動産を売却・賃貸・管理できる。

・遺言のような効果を持たせられる
 → 死後の財産承継の流れも設計できる(例:長男→次男→孫へ)。

・成年後見より柔軟な管理が可能
 → 収益不動産のリフォームや建て替えも対応できる。

・不動産の共有問題を回避できる
 → 一部の家族に受託者の権限を集中させ、スムーズな運営が可能。

地主にとっては、資産が多いほど管理も複雑化します。
そのため、判断力がしっかりしている今のうちに、自分の意思で将来を設計できる家族信託は非常に強力な選択肢となります。

◆注意すべき点

・公証人を通じた契約・登記手続きが必要でコストがかかる

・受託者と他の家族間で“権限の集中”が問題になる可能性あり

・銀行によっては信託財産口座の取り扱いが限定的な場合がある

地主が家族信託を始める際には、司法書士・行政書士・税理士など専門家と連携しながら設計することが成功の鍵です。

第2部:任意後見制度とは?地主が備える“法定の安心網”

◆任意後見制度の仕組み

任意後見とは、将来の判断能力の低下に備え、信頼できる人に「財産管理」や「身上監護」を委任する契約です。
契約は公証人の立会いのもとで結び、本人の判断能力が低下した際に、家庭裁判所の監督下で後見人が就任します。

地主がこの制度を活用することで、たとえば以下のようなサポートを受けられます。

・不動産の賃貸契約の更新や管理

・医療や施設入所に関する契約

・税金や公共料金の支払い手続き

◆地主が任意後見を利用するメリット

・公的に認められた制度なので安心感が高い
 → 裁判所が監督するため、信頼性がある。

・生活面の支援もカバーできる
 → 医療・介護に関する意思決定を任せることが可能。

・契約内容を自由に設計できる
 → どの範囲まで委任するかを自分で決められる。

地主が家族に心身の不安を残さず、法的に確実な支援を整えておきたいと考えるなら、任意後見は有効な手段です。

◆任意後見のデメリット

・効力が発生するのは“本人の判断能力が低下してから”

・管理できる財産行為に制限がある(資産運用や売却にハードル)

・裁判所の関与があるため、柔軟な対応が難しいケースも

地主にとって、積極的な資産活用や柔軟な相続設計をしたい場合は、任意後見だけではカバーしきれない部分もあるのです。

第3部:地主の立場で選ぶならどちら?両者の比較と活用法

◆家族信託と任意後見の比較

・発効時期
家族信託:契約後すぐ
任意後見:判断能力低下後

・裁判所の関与
家族信託:基本なし
任意後見:あり(監督)

・柔軟性
家族信託:高い(資産活用OK)
任意後見:低め(管理中心)

・対応範囲
家族信託:資産承継・運用
任意後見:身上監護含む

・コスト
家族信託:中~高(専門家報酬)
任意後見:中(公証役場+監督報酬)

◆地主にとっての結論:「併用」も一つの答え

実は、地主が最も安心できるのは、
「家族信託+任意後見」の併用です。

・不動産や預金の運用・売却は家族信託で託す

・身体・生活面の意思決定は任意後見でサポート

これにより、財産と身体、両面の将来リスクに備えることができるのです。

また、相続対策としても非常に有効で、
「認知症で土地が売れない」
「相続人が動けず放置される」
といったリスクを最小限に抑えられます。
「家族信託」と「任意後見」は、地主が将来に向けて安心を作るためのツールです。

家族信託は資産運用・承継に強く、
任意後見は生活面の保護に強い。

地主としての立場を守り、家族に迷惑をかけず、土地や建物を“生かす”ためには、
今のうちから信託契約や後見契約を結び、自分の意思をかたちにしておくことが最大の備えになります。

「まだ元気だから大丈夫」ではなく、
「元気な今だからこそ準備しておく」というのが地主のあるべき姿ではないでしょうか。
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