地主が管理会社と長く良好な関係を築くコツ ~“任せっぱなし”では続かない!地主としての関わり方~
不動産を所有する地主にとって、管理会社は“ただの外注先”ではなく、資産を守り育ててくれるビジネスパートナーです。
しかし、「管理会社に任せていれば大丈夫」と思っていると、思わぬトラブルや意思疎通のずれに悩まされることになります。
実際、長年管理を委託してきた地主の中にも、
「担当者が変わった途端に対応が悪くなった」
「修繕や入居者対応で不満がたまってきた」
「報告が遅くなり、信頼関係にヒビが入った」
といった声が少なくありません。
本記事では、地主が管理会社との関係を“短期で終わらせないための関わり方”について、3つの観点から解説します。
第1部:地主としての「期待値」を明確にする
◆管理会社は“エスパー”ではない
管理会社にすべてを任せるつもりでも、地主が「何を期待しているか」を伝えていなければ、
お互いの認識にズレが生じ、誤解や不満に繋がります。
たとえば…
「空室期間はどれくらいまで許容できるか」
「どの程度まで修繕費を出せるか」
「入居者対応の連絡はどこまで必要か」
「月次報告のタイミング・内容への要望」
こういった細かい点を最初に地主が明示しておくことで、
管理会社側も適切に動くことができ、結果的に両者のストレスが減るのです。
◆地主が提示すべき5つの期待ポイント
1.収益目標の共有
例:「年間利回り○%以上を維持したい」など
2.入居者層の希望
例:「ファミリー層中心に」や「ペット可不可」などの方針
3.トラブル対応の温度感
「軽微なものはお任せ」or「すべて報告してほしい」かの線引き
4.修繕・投資判断のスタンス
地主が「予防保全型」なのか「最小コスト主義」か明示する
5.報告・連絡方法の希望
電話、メール、LINE、報告書式など
これらを明確に伝えることで、地主と管理会社は“同じゴール”に向かって動くことができます。
第2部:地主こそ「定期的な対話」を仕掛けるべき
◆放っておかれる地主ほど“後回し”にされる
管理会社にとって地主は数ある顧客の一人。
定期的に連絡をくれる地主と、音沙汰のない地主なら、どちらを優先的にフォローするかは明白です。
地主自身が“問題のない時期”でも定期的にコンタクトを取ることで、
管理会社も「この地主さんはしっかりしている」「大事にすべきだ」と認識し、優先度が上がります。
◆地主が実践すべき定期コミュニケーションの例
・四半期ごとに面談・電話を依頼する
物件の稼働状況や修繕提案を確認
・「最近どうですか?」と軽く連絡を入れる
報告が来るのを待つだけでなく、地主からも話題を振る
・収支レポートに「確認済」のリアクションを送る
既読スルーではなく、感謝の一言を添えるだけでも印象が違います
・物件現地を年1回は一緒に見に行く
現場の状況を共有しながら信頼を深める
地主にとって、こうした「関係維持コスト」は極めて少額ですが、
長期的に見ると大きな差を生み出します。
第3部:トラブル時に地主が冷静に動くための心得
◆感情で動くと、関係が一気に崩れる
どんなに信頼している管理会社でも、人為ミスや連携ミスがゼロになることはありません。
問題が起きたとき、地主が感情的に怒ったり、「すぐに他社に切り替える!」と決めてしまうと、
一時的な満足は得られても、長期的な信頼関係は築けません。
◆トラブル発生時の地主の行動ステップ
1.まずは事実確認
「なぜ起きたのか」「どこで連携が切れたのか」を冷静に整理
2.管理会社の言い分も聞く
一方的に責めず、説明や改善策を受け止める
3.再発防止策を合意する
マニュアルや報告体制の見直しを地主が主導して提案しても良い
4.関係をリセットしない
「一度の失敗」で即解約せず、むしろ改善できるチャンスと捉える
地主としての成熟度が問われるのは、こうした“ミスが起きた時の対応”です。
冷静で建設的な地主は、管理会社からも「この地主さんとは長くやっていきたい」と思われます。
地主が管理会社と長く良好な関係を築くには、
「任せっぱなし」「言われっぱなし」では不十分です。
◆ 地主が取るべき3つの行動
1.自分の期待を明確に伝える(=方向性を共有)
2.定期的に連絡を取り続ける(=存在感を示す)
3.トラブル時に冷静に対処する(=信頼関係を育てる)
管理会社との関係性を地主自身が主導し、相手にとって“扱いやすく、信頼できる地主”になること。
それこそが、安定した賃貸経営や相続後のスムーズな引き継ぎに繋がっていくのです。
管理会社任せではない、「地主らしい地主」になる第一歩として、
今日からできる小さなコミュニケーションから始めてみてはいかがでしょうか。