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私道トラブルと通行権の考え方 ~地主が知っておくべき“道の権利”のリアル~

土地を所有する地主にとって、自分の敷地に接している「道路」が公道か私道かは、活用にも資産価値にも大きな影響を及ぼします。
とくに都心部の密集住宅地などでは、細い私道が通行や生活道路の役割を果たしており、その「道」を誰が所有していて、誰が使えるのかという問題が、さまざまなトラブルの火種になります。

「通行させない」と言われた…
「私道の持ち主が許可してくれない」…
「通行承諾書がないと家が建てられない」…

地主として、自分の土地や相続予定地がこのような状態にあるとしたら、道があるのに使えないという“現代の陥穽(かんせい)”に陥っているかもしれません。

本記事では、「私道トラブルと通行権の考え方」について、地主目線で知っておくべき法的ポイントと実務的対応を3部構成で解説します。

第1部:そもそも私道とは?地主に求められる基本知識

◆私道=私有地であることを忘れてはいけない

地主の中には「道路はみんなが通れるもの」と思いがちですが、私道とは特定の個人または複数人が所有する土地で、法律上は私有地です。

例)

・公道:国・都道府県・市区町村が所有

・私道:地主や分譲主が所有(建築開発時に残った通路など)

そのため、誰かが勝手に通ると「不法侵入」となる可能性もあり、逆に地主である自分が他人の私道を通っている場合には、「通ってもいい」という法的根拠を持っている必要があります。

◆通行権の種類は主に3つ

地主として知っておくべき通行権の主な種類は以下の3つです。

・位置指定道路(建築基準法第42条1項5号)
 →「道路」として認定されている私道。建築に利用可能

・通行地役権(民法第280条~)
 → 他人の土地を通ることを契約や慣習で認めたもの

・通行承諾(覚書・契約書)
 → 建築や開発時に地主間で取り交わされた使用許可書

これらがないと、地主が建物を建てる許可(建築確認)を取れないこともあるため、自分の土地の接道状況は詳細に把握しておくべきです。

◆私道の持ち分とは?地主が誤解しやすい点

分譲地などでありがちなのが、「道をみんなで共有している」ケース。
このような「私道持ち分」は、登記簿で確認できます。

例)

・「1/10持分」「共有持分あり」と記載されている

・反対に「持ち分なし」の場合、通行権の法的根拠が弱い

地主としては、「持ち分がないのに通っている土地」がないかどうかの確認が非常に重要です。

第2部:私道トラブルが起きる具体的ケースと地主の対応策

◆ケース①:持ち分がない私道を通っている

これは地主が最も危険な状態です。

・建築確認申請が通らない

・新築・増改築ができない

・相続時にトラブルになる

・持ち主が使用を拒否すると“袋地”になる

このようなときは、地主としてまず通行承諾書を取得する交渉を進める必要があります。

◆ケース②:私道の補修費用を巡ってトラブルに

私道が壊れた・舗装が剥がれたとき、地主が「誰が直すのか」で揉めることがあります。

・地主として私道を持っているなら修繕義務の一部を負う可能性

・他の共有者が費用を拒否するケースもある

・通行している人から「早く直してくれ」と言われることも

このようなときは、あらかじめ共有者間で「維持管理費用のルール」を書面化しておくことが、地主としてのリスク回避につながります。

◆ケース③:通行をめぐって揉めた相手が「車止め」や「柵」を設置

実際に起こり得るのが、通行許可を出していない隣人や元所有者が、私道に物理的な障害物を置くという行動です。

・地主である自分の土地が使えなくなる

・建築予定が止まる

・住民全体で対立が深まる

このようなケースでは、民事調停や通行地役権の確認訴訟など、地主として法的手段を講じる必要が出てきます。

第3部:地主が実践すべき通行権トラブル対策

◆通行承諾書を確実に取得しておく

地主が土地を売却したり、子どもに相続させる際、最も重要なのが通行承諾書の有無です。

・A4紙1枚でも法的効力あり

・書面で「建築・通行を認める」旨を明記

・印鑑・日付・土地の表示が必要

通行承諾書がない場合は、持ち主と交渉し、費用を支払ってでも取得する価値があります。
将来の建て替えや売却に際して大きな武器になります。

◆持ち分のない土地でも通行地役権を主張できる場合も

通行地役権とは、土地に通行する権利だけを設定する方法で、地主が使う道に「権利」を設定できるケースがあります。

・長年通行してきた慣習がある

・通る以外に出入りできない袋地である

・通行しなければ生活が成り立たないと認められる

このような場合、裁判所が通行地役権を認める判例も多くあります。
地主としては、いざというときに備え、過去の使用実態や写真・契約書などを保管しておくことが重要です。

◆私道を将来的にトラブル化させない地主の管理習慣

地主として私道に関係している場合、以下を定期的に確認しておくことをおすすめします。

・登記簿で持ち分の有無を確認する

・私道の現況を撮影・記録しておく

・他人の使用状況(通行・車両侵入など)を把握する

・通行料の請求が妥当かどうかの判断基準を持つ

これにより、いざトラブルが起きたときに「地主としての主張を通せるだけの材料」を揃えることができます。
通行権・私道トラブルは、目には見えない“権利の世界”ですが、その価値と影響は絶大です。
地主としてこの問題を正しく理解していないと、「道があるのに通れない」「家が建たない」という致命的リスクに直面します。

・私道の持ち分があるか登記で確認

・通行承諾書がなければ交渉して取得

・トラブルがあれば証拠を残し、法的手段も辞さない

地主にとって、土地の価値を守るには、「敷地内だけでなく、接道部分の権利も守る」という広い視野が必要です。
見えない“道の権利”こそ、地主が真っ先に守るべき財産です。
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