【地主の相続対策】借地人の建物が老朽化して危険!地主が勝手に解体できない理由と対処法
「貸している土地の上に、今にも倒れそうな古い建物がある」
「借地人が建物を管理してくれないけれど、地主が解体してもよいのだろうか?」
「老朽化した借地上の建物を、このまま子どもたちに引き継がせるのが心配」
このようなお悩みを抱えている地主さんは少なくありません。
特に東京都の世田谷区、杉並区、板橋区、神奈川県の横浜市や川崎市、埼玉県の川越市や所沢市、千葉県の市川市や船橋市など、昔からの住宅地では、数十年前に建てられた借地人所有の建物が残っているケースがあります。
建物の老朽化が進み、屋根や外壁の一部が落下するおそれがあったり、周辺住民から苦情が寄せられたりすることも考えられます。
しかし、土地の所有者である地主さんだからといって、借地人が所有する建物を自由に解体できるわけではありません。
今回は、借地上の建物が老朽化した場合の責任関係や、地主さんが取るべき対応、相続前に検討したい対策について解説します。
1. 土地は地主のものでも、借地人の建物を勝手に解体できない
まず理解しておきたいのは、土地の所有権と建物の所有権は別々の権利だということです。
例えば、東京都大田区で地主さんが所有する土地を借地人に貸しており、その土地の上に借地人名義の木造住宅が建っているとします。
建物が築60年以上経過し、長期間使用されていない場合でも、地主さんが自分の判断だけで建物を取り壊すことは原則としてできません。
なぜなら、建物は借地人の所有物だからです。
たとえ建物が空き家になっていても、借地契約が継続している場合には、借地人の権利を尊重する必要があります。
また、借地人が亡くなっている場合でも、建物や借地権が相続人に承継されている可能性があります。
神奈川県横浜市鶴見区や川崎市幸区、埼玉県さいたま市浦和区、千葉県松戸市などでも、借地人の死亡後に建物が長期間放置され、誰が管理しているのかわからなくなるケースが考えられます。
このような場合、まずは建物の登記事項証明書などを確認し、所有者や相続人を調査することが重要です。
建物が未登記の場合には、固定資産税関係の資料や過去の契約書などを手掛かりに、所有関係を確認する必要があります。
ただし、建物の登記名義人が亡くなっている場合、登記情報だけでは現在の権利者を特定できないこともあります。
借地人と連絡が取れないからといって、地主さんが勝手に建物を解体することは避けるべきです。
無断で解体した場合、損害賠償などの問題につながるおそれがあります。
2. 借地上の建物が倒壊した場合、地主にも責任はある?
借地上の建物が老朽化している場合、地主さんが特に心配するのは、建物の倒壊や外壁の落下による事故ではないでしょうか。
例えば、東京都中野区で借地人所有の古い建物の外壁が落下し、通行人にけがをさせてしまった場合を考えてみましょう。
このような事故が発生した場合、建物の所有者や占有者の責任が問題となります。
民法第717条では、土地の工作物の設置または保存に瑕疵があり、他人に損害を与えた場合の責任について定められています。
原則として、まず占有者の責任が問題となり、占有者が損害の発生を防止するために必要な注意をした場合には、所有者が責任を負う仕組みです。
そのため、土地を貸しているという理由だけで、地主さんが借地人所有の建物の事故について当然に責任を負うわけではありません。
ただし、地主さん自身が危険な設備を所有・管理している場合や、事故への関与が認められる場合などには、個別の事情によって責任が問題となる可能性があります。
また、法律上の賠償責任とは別に、近隣住民から地主さんへ苦情や相談が寄せられることもあります。
例えば、神奈川県藤沢市や鎌倉市、埼玉県川口市や草加市、千葉県柏市や市川市などで、借地上の建物が道路に向かって傾いている場合、周辺住民としては土地の所有者にも対応を求めたくなるでしょう。
そのため、地主さんとしては、建物の危険性を把握した段階で、借地人や建物所有者に状況を伝えることが大切です。
具体的には、現地の写真を撮影して記録を残したり、建物の修繕や安全対策を求める通知を送ったりする方法が考えられます。
倒壊などの危険が差し迫っている場合には、自治体の建築指導担当部署や空き家対策担当部署に相談することも検討しましょう。
空家等対策の推進に関する特別措置法に基づく対応が可能かどうかは、建物の利用状況や危険性などによって異なります。
また、借地人が建物を適切に管理していない場合でも、それだけで直ちに借地契約を解除できるとは限りません。
契約違反の内容や程度、信頼関係が破壊されているかどうかなどを踏まえた慎重な判断が必要です。
3. 老朽化した借地上の建物を整理するための3つの選択肢
借地上の建物が老朽化している場合、地主さんとしては、将来の相続を見据えて土地の権利関係を整理したいと考えることもあるでしょう。
その際には、借地人の意向や契約内容を確認しながら、複数の選択肢を比較することが大切です。
① 借地人に建物の修繕や解体を依頼する
まず考えられるのが、借地人に建物の安全対策を求める方法です。
例えば、東京都練馬区で借地人が長期間使用していない木造住宅について、屋根材の落下や外壁の破損が確認された場合、修繕や解体について協議することが考えられます。
ただし、借地人が建物を解体したからといって、借地契約が当然に終了するとは限りません。
また、建物の建替えについては、契約内容や適用される借地法によって取り扱いが異なります。
そのため、解体後の借地関係についても事前に確認しておく必要があります。
② 借地権を買い取って土地の権利関係を整理する
借地人が建物を利用する予定がなく、借地権の処分を希望している場合には、地主さんが借地権を買い取る方法もあります。
例えば、神奈川県横浜市港北区や川崎市高津区で、借地人が高齢となり、今後建物を維持することが難しくなった場合などです。
借地権を買い取ることで、地主さんが土地の権利関係を一本化できる可能性があります。
ただし、借地権の買い取りには費用がかかるため、土地の価値や将来的な活用方法を踏まえた判断が必要です。
③ 底地と借地権を一体として売却する
地主さんも借地人も土地を保有し続ける意思がない場合には、底地と借地権を一体として第三者へ売却する方法も考えられます。
例えば、埼玉県所沢市やふじみ野市、千葉県船橋市や習志野市などで、老朽化した建物が残る土地について、双方が協力して売却するケースです。
土地の権利関係を整理したうえで売却することで、買主の選択肢が広がる可能性があります。
ただし、売却代金の配分や建物の解体費用、引渡し条件などについて、地主と借地人の間で合意する必要があります。
また、建物が著しく老朽化している場合には、解体費用や残置物の処分費用が高額になることもあります。
そのため、売却価格だけでなく、最終的に手元に残る金額を比較することが重要です。
老朽化した借地上の建物は、放置するほど管理上の問題が大きくなる可能性があります。
相続が発生してから対応するのではなく、地主さんが元気なうちに借地人との関係を整理し、今後の方針を検討しておくことが大切です。
借地上に建っている建物は、原則として借地人の所有物です。
そのため、建物が老朽化して危険な状態になっていても、地主さんが一方的に解体することはできません。
また、建物の倒壊などによる事故が発生した場合、建物所有者や占有者の責任が問題となりますが、地主さん自身の責任については個別の事情によって判断されます。
東京・神奈川・埼玉・千葉で古い借地契約を抱えている地主さんは、建物の状態や借地人との関係を確認し、将来的な相続も見据えて早めに対応することが重要です。
地主不動産相続相談室を運営する不動産相続アーキテクツ株式会社では、地主さんが抱える底地・借地の問題、借地人との権利調整、老朽化建物が残る土地の売却、相続対策などについてご相談を承っています。
「借地人の建物が古くなり、倒壊しないか心配している」
「借地人と連絡が取れず、建物が放置されている」
「老朽化した建物が残る底地を、子どもたちに相続させるべきか悩んでいる」
このようなお悩みがありましたら、地主不動産相続相談室までお気軽にご相談ください。