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「所有型」か「管理型」か?地主の失敗しない資産管理法人の形態選び

資産管理法人を作ろうと決意した地主さんが、最初にぶつかる壁が「どうやって不動産の利益を会社に移すか」という仕組みのデザインです。

不動産は個人名義のまま、管理だけを会社に任せるのか。それとも、建物ごと会社の名義にしてしまうのか。この「器の形」を間違えると、せっかくお金をかけて法人を作っても、思ったほどの節税効果が出ないばかりか、税務調査で手痛い追徴課税を食らうことになります。3つの基本モデルのメリット・デメリットを冷徹に比較していきましょう。

【第1部】手軽だが効果は限定的:「管理委託型」と「一括借上(サブリース)型」

まずは、既存の不動産の名義(個人)を動かさずに、手軽に始められる2つの手法です。

① 管理委託型
アパートの所有者は個人のまま、新設した法人と「管理委託契約」を結びます。法人が入居者対応や清掃を行い、個人(大家)から法人へ「管理料」を支払うことで、所得を法人へ移すスタイルです。

② 一括借上(サブリース)型
法人が個人(大家)からアパートを一括で借り上げ、入居者に転貸(サブリース)するスタイルです。法人は入居者から受け取る家賃と、個人に支払う保証家賃の「差額(サヤ)」を利益として残します。

これらの最大のメリットは、「不動産の名義変更コスト(登録免許税や不動産取得税)が1円もかからない」という身軽さにあります。しかし、2026年現在、この2つの型に対する税務署の目はかつてないほど厳しくなっています。なぜなら、正当な理由なく法人への支払いを大きくして、無理やり節税しようとする地主が後を絶たないからです。

管理委託型の移転限界 = 総家賃収入 × 適正な管理料率(5%〜10%)

税務上、認められる管理料率はせいぜい5%〜10%が限界です。サブリース型でも差額(サヤ)は10%〜15%程度。つまり、「家賃収入の1割程度しか法人にお金を移せない」ため、元々の家賃収入が数千万円規模であるメガ地主さんにとっては、累進税率を薄める効果としては物足りないのが現実です。

【第2部】節税効果を最大化する王道:「不動産所有型」

家賃収入の「全額」を法人にガッツリ落とし込み、個人の所得税を劇的に減らしたい場合の最終結論が、この「不動産所有型」です。文字通り、アパートの「建物」を法人名義にしてしまう(または最初から法人名義で建てる)手法です。土地は地主個人のもののまま、建物だけを法人に所有させるため、入居者からの家賃は100%ダイレクトに法人の口座に振り込まれます。

所有型の移転額 = 総家賃収入 - 物件維持の実費経費

この数式の通り、実費経費を除いた利益のすべてが法人のものとなり、そこから家族へ役員報酬を自由に分配できるため、節税の自由度は他の2つの型とは比べ物にならないほど高くなります。

既存の物件を個人から法人へ売却(移転)する場合、建物の購入資金をどう調達するか(銀行融資や役員借入金)、また移転コストを上回る節税メリットが本当にあるかという綿密なシミュレーションが必要になりますが、「これから新しい土地活用でアパートや商業ビルを建てる」という計画があるなら、最初から「法人名義」で建築・契約するのが2026年の絶対的なセオリーです。

【第3部】2026年の選択基準:3つの形態を徹底比較

地主さんの現在の状況に合わせて、どの型を選ぶべきか一覧表で整理しました。

◆資産管理法人の3大形態の比較]比較項目

①管理委託型
節税効果(所得移転力):小(家賃の5%〜10%)
初期導入コスト:ほぼゼロ(会社設立費のみ)
税務署による否認リスク:高い(実態のない管理料はNG)
最適な地主のタイプ:まずは小さく試したい、既存物件のみ

②一括借上(サブリース)型
節税効果:中(家賃の10%〜15%)
初期導入コスト:ほぼゼロ(会社設立費のみ)
税務署による否認リスク:中(適正な借上率の設定が必要)
最適な地主のタイプ:既存物件のみ既存物件が多く、管理の手間も省きたい

③不動産所有型
節税効果:大(家賃の100%)
初期導入コスト:移転登記費用、不動産取得税など
税務署による否認リスク:極めて低い(名義が会社のため確実)
最適な地主のタイプ:家賃収入が大きく、新築・建替え予定がある
資産管理法人は、「作ること」自体が目的ではありません。あなたの持っている不動産の築年数、ローンの残高、そして毎年の家賃総額という「現実の数字」に合わせて、最適な器(型)をパズルのように組み合わせる必要があります。

目安として、既存の古いアパートが数棟あるだけなら、まずは「サブリース型」で身軽に始め、将来の大型の土地活用や建て替えのタイミングで「所有型」へシフトしていくのが、最もリスクの少ないスマートな戦略です。
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