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路線価 vs 実勢価格、どちらを信じるべき? 〜地主が迷いやすい“2つの価格”の真実とは〜

「え?この土地、そんなに安いの?」

都内の地主であるAさんは、税理士から提示された“路線価ベースの評価額”を見て驚いた。
市場では2億円以上で売却可能と見込まれていた土地が、路線価評価では1億2,000万円だったからだ。

一方、近隣で土地を売却した地主仲間は「実勢価格で売ったほうが得だ」と話す。

このように、**地主が最も混乱しやすいのが「路線価」と「実勢価格」**の違いです。
固定資産税、相続税、不動産売却、賃貸計画──どれを考えてもこの2つの価格差が影響します。

本記事では、地主が判断に迷いがちなこの問題について、

・路線価と実勢価格の違い

・どちらをどんな場面で使うべきか

・地主にとって損しない判断のコツ

を3部構成で、分かりやすく解説していきます。

第1部:そもそも「路線価」と「実勢価格」は何が違うのか?

■ 路線価とは?〜地主が最初に出会う公的価格

**路線価とは、国税庁が公表する「相続税や贈与税を計算するための土地の価格」**です。
毎年7月に公表され、道路ごとに「1㎡あたりいくら」という形で表示されます。

地主にとって、路線価は以下のような場面で登場します:

・相続税・贈与税の申告

・不動産の時価評価(税理士との相談時)

・金融機関が担保評価を行う際の基準の1つ

※なお、路線価は「実勢価格の約80%」が目安とされており、実際の取引価格よりもやや低くなるのが一般的です。

■ 実勢価格とは?〜“地主が売れる価格”の現実

実勢価格とは、不動産市場で実際に売買される価格のことです。
これは需要と供給、立地、周辺相場などの要因によって日々変動します。

地主にとって実勢価格は以下で重視されます。

・土地売却や等価交換の交渉

・賃料設定や収益予測

・不動産会社との価格査定時

・相続人同士の分割協議での参考

つまり、「現金化を前提にした資産価値」は、実勢価格で見る必要があります。

■ 地主が知っておくべき「価格差」のリアル

たとえばある地主が持つ路線価1㎡=30万円の土地でも、
実際の売買事例では50〜60万円で取引されるケースがあります。

この差は、固定資産税や相続税の納税時には“得”になりますが、
売却価格とのギャップに戸惑う地主も少なくありません。

第2部:地主の目的別「どちらを見るべきか?」

■ 相続対策や贈与計画なら「路線価」

相続税の申告や将来の贈与を検討する際は、路線価ベースでの評価が必要不可欠です。
なぜなら、税金計算のベースはあくまで「国が決めた評価額」だからです。

地主の中には、将来的な相続税に備えて、事前に税理士と連携して、

・土地を分筆しておく

・小規模宅地特例を活用する

・遺言書で分け方を明記しておく

といった行動を取るケースもあります。

これらも**すべて“路線価を基にした対策”**です。

■ 売却や担保提供、開発協議なら「実勢価格」

一方、地主が土地を売る、開発事業に参加する、融資を受ける──
こうしたタイミングでは、実勢価格が重視されます。

たとえば

・土地を業者に売却するなら「周辺事例」や「買い手の想定利回り」で価格が決まる

・コンビニや建売業者との交渉では、坪単価が具体的に出てくる

・金融機関に担保として提出する際、路線価よりも「実勢の流動性」が評価対象

地主がここで路線価を基準にしてしまうと、「価格交渉で損をする」可能性があるのです。

■ ケーススタディ:地主Bさんの判断ミス

地主Bさんは、相続対策の相談で「路線価で計算して1億の土地だから税金は大丈夫」と油断。
ところが、実際の市場価値は2億円近くあり、将来的に売却予定だったため、

・売却益に伴う譲渡所得税が大きくなり

・路線価と実勢価格のギャップにより兄弟間で不信感が生まれた

という事態に。

地主は「相続用」「市場用」と評価軸を切り分けて考えるべきなのです。

第3部:地主がとるべき“両方の価格を使い分ける”戦略

■ まずは「評価一覧」を作成することから

地主が迷わないためには、自分が持つ土地すべてに対し、

・路線価ベースの評価額(税務署資料参照)

・実勢価格の目安(不動産会社の査定 or 土地総合情報システム)

を一覧にするのがベストです。

この一覧を作ることで

・相続税の試算ができる

・売却や資産活用の検討材料になる

・他の不動産とのバランスも見える

という地主ならではの判断力が養われます。

■ プロと連携する地主は失敗しない

地主がこの2つの価格を適切に使い分けるには、税理士・不動産会社・司法書士などとの連携が重要です。

・税理士は「路線価ベースでの節税提案」

・不動産会社は「売却目線での価格調査」

・司法書士は「登記上のリスクや名義変更アドバイス」

提供してくれるので、地主がすべてを独力で判断する必要はありません。

■ 将来の相続人へ「価格の考え方」を引き継ぐ

地主自身が価格の違いを理解しても、それが相続人に伝わっていなければ意味がありません。
そのため、地主は以下の情報を整理・伝達することが大切です。

・路線価と実勢価格の一覧表

・評価の背景(なぜ高い/安いのか)

・何のためにどちらの価格を使ってきたか(売却?贈与?節税?)

このように**「価格への考え方」を相続対策の一環として明文化しておく**ことで、将来的な混乱を防ぐことができます。
地主が土地を評価する際に直面する「路線価と実勢価格のギャップ」は、決して無視できるものではありません。

・税金を考えるなら「路線価」

・現実の価値を考えるなら「実勢価格」

どちらも地主にとって重要ですが、目的に応じて正しく使い分けなければ、大きな損を招く可能性があります。

「路線価だけで安心しない」
「実勢価格だけで判断しない」
この2つのバランス感覚こそ、地主に必要な視点です。

地主としての資産を守り、次の世代に正しく引き継ぐためにも、“価格の違い”に強くなることから始めましょう。
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