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建築基準法の「セットバック」とは?地主が知っておくべき重要ポイント 導入

地主にとって、土地を有効活用することは資産形成と相続対策の両面で欠かせないテーマです。しかし、実際に建物を建てようとすると、思わぬ規制により建築できる面積が制限されることがあります。その代表例が 建築基準法における「セットバック」 です。

セットバックは、道路と建物の間に一定の距離を確保する制度で、都市計画や住環境の安全・快適さを守るために定められています。地主にとって、この制度を正しく理解しないまま土地活用を進めると、予定していたアパートや戸建てが建てられなかったり、土地の有効面積が大幅に減少するというリスクがあります。

この記事では、地主が知っておくべきセットバックの基本と具体的な影響、さらに地主が賢く土地を活用するための考え方について3部構成で解説します。

第1部:地主が理解すべき「セットバック」の基本

まず地主が押さえておきたいのは、セットバックの定義とその目的です。

◆セットバックとは何か

建築基準法では、幅員(道の幅)が 4メートル未満の道路 に接している土地について、将来的に道路を4メートルに広げることを想定し、敷地の一部を道路として提供するよう求めています。これがセットバックです。地主は道路の中心線から2メートルの位置まで敷地を後退させて建物を建てなければなりません。

◆セットバックの目的

・地主が「なぜ土地を削られなければならないのか」と疑問に思うことも多いですが、その目的は明確です。

・防災上の安全確保(火災時に消防車が進入できる道路幅を確保)

・交通の安全(車両や歩行者の通行を円滑にする)

・景観や住環境の改善(狭い路地の閉塞感をなくす)

地主の土地が将来にわたり安全で快適に利用されるための制度でもあるのです。

◆地主への直接的な影響

地主にとってセットバックは「土地を一部提供しなければならない」という点で不利益に感じられることがあります。例えば、敷地が100㎡あっても、セットバック部分が10㎡なら実質的に建築可能面積は90㎡となり、建物の規模や戸数に影響が出ます。これは地主にとって賃貸経営の収益性にも直結します。

第2部:地主が直面する具体的な影響と注意点

地主が実際にセットバックに直面したとき、どのような課題やリスクがあるのかを掘り下げてみましょう。

◆建物の規模制限

地主がアパートやマンションを計画する場合、建ぺい率や容積率に基づき建築可能な面積を計算します。しかしセットバック部分は敷地面積に含められないため、思っていたよりも小さい建物しか建てられないことがあります。地主は初期の設計段階で必ず確認が必要です。

◆相続や売却時のトラブル

地主が土地を相続した際、「道路に面しているから有効利用できる」と考えたものの、実際にはセットバック義務があり有効面積が減少していた、というケースは少なくありません。また、買主との売買交渉でも「セットバック後の面積」で評価されることが多く、地主にとって売却価格が想定より低くなるリスクがあります。

◆セットバック部分の取り扱い

地主にとって疑問が多いのが「セットバックした部分の所有権はどうなるのか」という点です。多くの場合、形式的には地主の所有のままですが、建築や構造物の設置は禁止され、実質的には「道路」として利用されます。このため、固定資産税は課税され続ける一方で自由に活用できないというジレンマに直面することもあります。

◆事例:地主が想定外の制限に直面したケース

ある地主は相続した土地にアパートを建てようとしましたが、敷地が狭い路地に面していたため、計画の段階で10㎡以上をセットバックする必要があると判明しました。その結果、建築できる住戸数が2戸減り、地主の収益計画は大幅に下方修正を余儀なくされました。このように地主は「土地の見た目の広さ」ではなく「建築基準法上の有効面積」を常に意識する必要があるのです。

第3部:地主がとるべき対策と賢い土地活用戦略

では地主は、セットバックという制約にどう向き合えばよいのでしょうか。ここでは地主にとって現実的な対応策を解説します。

◆事前調査と専門家相談

地主が土地活用を検討する際には、必ず役所の建築指導課などで「接道義務」「セットバック義務」の有無を確認すべきです。また、建築士や不動産コンサルタントに相談することで、地主は早い段階でリスクを把握できます。

◆セットバック部分を有効活用する工夫

地主にとってセットバック部分は「使えない土地」と思われがちですが、工夫次第で価値を持たせることも可能です。例えば植栽をして景観を良くする、駐輪スペースとして活用するなど、建築物以外の用途なら一定の利用が可能です。地主にとって「損失」ではなく「環境改善の投資」と捉えることが重要です。

◆売却や相続の際の説明責任

地主が相続人に土地を引き継ぐ際、または売却する際には、セットバックの存在をきちんと説明することがトラブル回避につながります。特に地主の相続人は不動産に詳しくないケースが多いため、「この土地は有効面積が減る」という情報を共有しておくことが安心材料になります。

◆将来を見据えた発想の転換

地主にとってセットバックは短期的には不利に感じられる制度ですが、長期的には「土地周辺の環境価値を高める仕組み」と考えることもできます。道路が広がり利便性や安全性が高まれば、地主の土地の資産価値自体も向上する可能性があるのです。地主は「個別の損失」ではなく「地域全体の価値向上」という広い視点で捉えることが求められます。
地主にとって、建築基準法の「セットバック」は非常に身近でありながら、誤解されやすい制度です。

・セットバックとは、幅員4メートル未満の道路に接する土地で、敷地を後退させて建築する義務

・地主には建築規模の制限や資産価値の減少といった直接的な影響がある

・しかし長期的には地域の安全性・利便性を高め、地主の土地の価値維持にもつながる

地主が損をしないためには、早い段階での調査と専門家の活用、そして前向きな発想が欠かせません。地主としての責務は、自らの土地を守るだけでなく、地域社会に資する形で土地を活かすことです。セットバックを「制約」ではなく「未来の投資」と考える視点が、地主の資産形成に大きな差を生むのです。
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